motosuke-takedaの日記

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私

【東洋経済記事・後日談】難波先生より

【東洋経済記事・後日談】
 高橋幸春さん(『誰が修復腎移植をつぶすのか』著者)のインタビュー記事が、「東洋経済」に載り、ついでオンラインで公開されたことは前に書いた。

 オンライン版には読者の「コメント欄」があり、そこにまず「中嶋隆一」という人物が修復腎移植を支持するコメントを書き、1時間後に「安部光洋」なる人物が「修復腎移植はありえない」というコメントを書き込んでいる。
http://toyokeizai.net/articles/-/80469
<安部 光洋 · 東京都 品川区=修復腎移植はありえない。
小径腎癌には腎部分切除術をすればいいだけのはなし。
年間2000個の腎が修復腎の候補とのことだが、手術レベルの問題である。
ちゃんとした外科医が手術をすれば、ほとんどの腎は温存でき、修復腎の候補になりえない。
ミスリードしないでほしい。>

 内容から見て腎部分切除の経験がある泌尿器科医と思われるが、「安部光洋」という東京の医師は、この人しかいないようだ。
https://www.ntt-east.co.jp/kmc/guide/urology/schedule.html

<東京大学医学部卒(2001年)、三井記念病院、東京大学医学部付属病院、青梅市立総合病院、虎の門病院をへて、NTT関東病院の医長・前立腺センター長兼任という現職にあり、「日本泌尿器科学会指導医・専門医」>である。
 その方とは断定できないが、問題の書き込みをした人物にはこういいたい。

<「修復腎移植はありえない」「ミスリード」は無知ゆえの完全な誤解です。
 日本の「修復腎移植・臨床研究」10例の報告が以下に掲載されました。成績はきわめて良好です。
Ogawa Y他: Transplant Proc. 2015,47(6): 1711-9.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26293039
 時を同じくして、フロリダ大からも4例の報告がなされました。全例がん再発なしです。
Lugo-Baruqui JA他:Transpl Int. 2015 Sep;28(9):1126-30
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25898787
世界ではすでに100例以上の修復腎移植が行われています。すべての小径腎がんを内視鏡手術により部分切除するのは不可能です。全摘を強く希望される患者(親族・他人)のICをえて修復腎を移植に用いるのは、互恵的利他主義です。これは日本で腎移植を求めている1万5000人の透析患者を救う「第3の移植」なのです。>

 私はオンライン接続していないので書き込めない。どなたか、問題の安部氏にこの内容を伝えて欲しいものだ。

 国立がんセンターの「全国がん罹患数予測」では「腎がんと尿路がん」が一緒にされている。病理学を知らない人が予測を行っているからだ。腎がんと尿路がんはまったく違うのに。よって日本には「腎がんの正確な罹患統計」がない。残念なことだ。
 http://www.ncc.go.jp/jp/information/press_release_20150428.html
 だが、上記のサイトによると「2015年、腎がんと尿路がん、男女合計」推測値は2万8,700人となっている。これが「発見率の上昇」によるものか、人口の高齢化によるものかはわからない。
 2007年の堤試算は「年間2,664例の小径腎がんが全摘されている」という推計のもとに、「その75%で修復腎移植への同意が、ドナーとレシピエントの双方から得られる」という仮定で「2000例」が移植に使えると計算したものだ。(元データは「広島県医師会腫瘍登録」データによる。)
 がんセンターのサイトでは、<2006年の腎盂を含む腎がんの罹患数(全国推計値)は、総数で約1万4900人。罹患率は50歳代から70歳代にかけて、高齢ほど高くなります。>となっている。
http://ganjoho.jp/public/cancer/renal_cell/index.html
 2006年の1万4,900人から2015年の罹患予測人数2万8,700人へと、10年間に1万3,800人も増加(93%増)したことになる。
 同じ10年間に、「内視鏡による腎がん部分切除」が進んだのは事実だが、「修復腎裁判」の5人の被告らの6病院における2008年の127件の小径腎がん例で、部分切除=66件(52%)、全摘=61件(48%)と、ほぼ半々に分かれている。(「誰が修復腎移植をつぶすのか」p.180)
 不思議なのは「腎臓がんの内視鏡手術」がそれほど優秀であれば、腎がんによる死亡数に現象が見られそうなのにそれがない。直線的に死亡数が増加している。
 http://www.tokyo-eiken.go.jp/sage/sage2011/
腎臓がんについては、<2009年の死亡者数のピークは,男子70歳代後半,女子85歳に位置する.男女とも死亡者数は増加を続け,2024年頃の年間死亡者数は男子5,000名,女子2,600名、合計7,600名になると予測される.>と記されている。
 ある「がん情報」のサイトには、
 http://www.gan-info.com/309.8.html
<がんは通常5年再発しなければ治ったとみなされますが、腎臓がんの場合は治療後10~20年の間再発の可能性があるため、治療後も定期的な検査を受ける必要があります。
 腎臓がんの場合、初回の手術で腎臓を摘出することが一般的ですので、再発は基本的に「転移」という形で表れることになります。>
 とあり、標準治療としての「腎臓全摘」を薦めている。
 ここにある術後「5年生存率」
 Ⅰ期=75%、Ⅱ期=63%、Ⅲ期=38%、Ⅳ期=11%
という数値を見たら、普通の患者は単純な全摘を選ぶだろうと思う。

 これでは「比較対照・臨床試験」の決定的論文が出ない限り、腎がんの全摘/部分切除の優劣は決められない。患者が選ぶしかない、だろうと思う。